読む世界史

書き残そう、世界の歴史の物語

No.2(西)ポリスの成立と発展

生徒:しま先生!もしかして、YouTubeやってますか?

 

しま:えっ!?いやっっ…えっあっっえ!??!?

 

生徒:分かりやすく狼狽してますね。今日、先生の動画見つけちゃいましたよ。

 

しま:いや!そんなはず…

 

生徒:先生、カップラーメン開発してたんですね。みそきん美味しそうでした!

 

しま:いや、それ俺じゃねぇよ。トップYouTuberと一緒にするなよ、俺はもっと底辺だわ!

 

生徒:かわいそうなくらい悲しいツッコミ…。

 

しま:はよ勉強するよ!!!さて、トロイア戦争に勝利したミケーネも、紀元前12世紀頃には滅亡しちゃうんだったよね!なんていう人たちがやってきて滅ぼしたか覚えてる!?

 

生徒:「和民」です。

 

しま:いやそれ大手居酒屋チェーン店!…じゃなくて「海の民」ね!

 

生徒:今日ツッコミ冴えてますね。ちゃんと予習しましたよ。海の民の侵入と破壊によって“線文字B”が失われて、そこから400年間の歴史がよく分かっていないんですよね!で、その400年間を「ブラック時代」という!

 

しま:いや「暗黒時代」ね!ブラック企業みたいに言わない!で、この時にはヒッタイトも滅ぼされていて、その影響でエーゲ海にも鉄器が伝わってくる!そして、ようやく落ち着いた前8世紀頃、人々はアクロポリスを中心にアゴラでシノイキスモスするようになってポリスを形成するんだよ!

 

生徒:えっと…あの…日本語でお願いします…

 

しま:よし!じゃあ今日はポリス(=都市国家)の構造をしっかり確認しておこう!まず、ポリスの中心地は高い丘になってるんだけど、この高い丘のことをアクロポリスと言う。アクロポリスには城塞があって、戦争の時にはここが砦になるんだ。そして、この城塞は神殿と一緒になっている!アテネにはパルテノン神殿が建っているよね。さて、アクロポリスのふもとを見ると、アゴラと呼ばれる広場が広がっている。このアゴラが市民の公共生活の中心になります。ちなみにポリスの市民達は、暇があればここに集まってお喋りしていたらしい。その周りには市民達の住む住宅が密集している。そしてそれを取り巻く形で城壁が築かれている。これが典型的なポリスの構造!ポリスの外側には農地があって、これもポリスの領土。この農地は市民に均等に分け与えられている私有地で、クレーロスと呼ばれています。奴隷が働かされていますね。

 

生徒:なるほど!絵に描いて整理すると分かりやすい!あ、質問です!ギリシアって何が採れるんですか!?

 

しま:ギリシアは山がちで、大きな平野がほとんど無い。そして雨もあまり降らないから、米とか麦とか穀物生産には向かないんだ。じゃあ何を作っていたかというと…答えは果樹栽培!ブドウとかオリーブとかね!

 

生徒:なるほど。じゃあ、主食はブドウか。
 

しま:まさか!ギリシア人は、ブドウやオリーブを海外に運び、穀物と交換してたんです!アテネの有名な哲学者プラトンも、自分の果樹園を持っていて、エジプトとの貿易で収入を得ていたらしい!

 

生徒:なるほど。古くからギリシア海上交易が盛んだった…ってわけですね!でも、人口が増えてきたらどうするんです?

 

しま:その問題を解決する方法は2つある。1つは、他のポリスから土地を奪ってくること。そしてもう1つが海外植民。地中海や黒海の沿岸、そしてイタリア半島シチリア島と、どんどん海外に植民市をつくっていくんだ!どこになんていう植民市ができたかは予習してきた?

 

生徒:いや、あの…地図は苦手で…

 

しま:1から覚えようと思うと大変だけど、今持ってる知識と結び付ければそんなに大変じゃない!例えば“ネアポリス”は今のナポリだし、“マッサリア”は今のマルセイユ。“タレントゥム”と“シラクサ”はこれからローマのところで出てくるし…ほら、前272年に「タレントゥムを征服してイタリア半島統一」って聞けば、半島の端の方にあるんだろうなぁ…って想像つくでしょ?

 

生徒:なるほど!そうやっていろいろな知識を結び付けて覚えれば良いのか!

 

しま:そう!歴史は必ずつながってるからね(ドヤッ

 

生徒:つながっていると言えば、確かギリシア人同士の絆もつながってるんですよね?

 

しま:そうなんだ!さっき言ったようにギリシア内じゃ、ポリス同士がしょっちゅう土地を奪い合って戦争をしている。だけれども、お互いに「自分たちはギリシア人だ!」という同胞意識も強く持っている。

 

生徒:ほー。具体的にはどんなところでですか??

 

しま:まずは言葉。ギリシア人は共通の言語と神話を持っていて、自らをヘレネスと自称したのに対し、ギリシア語以外の言葉を話す異民族はバルバロイ(=聞き苦しい言葉を話す者)と呼んで軽蔑していた!ちなみに、ギリシア人にとっての故郷はヘラスと呼んでいたよ。

 

生徒:なるほど!…あ、プリントにある“神託”ってなんのことです?

 

しま:デルフォイアポロン神の神託のことだね!ギリシアのポリスは、植民活動や戦争といった重要な国事は、デルフォイにあるアポロン神の神殿で占ってもらって決定していたんだ!

 

生徒:困ったときの神頼み…ってやつかー。

 

しま:そんなとこ!あと、我々に馴染み深いのはオリンピアの祭典かな?オリンピックのことだね。各ポリスの代表選手達がオリンピアに集まって競い合うわけですよ。で、ここで重要なのが「オリンピックの平和」というもの。オリンピックは4年に一度、だいたい3ヶ月間に渡って行われるんだけど、その間は一切の戦争が禁止になる。なぜかというと、オリンピックそのものがゼウス神に捧げる儀式だから。もし休戦を破ったらどうなるかというと…さっき言ったデルフォイの神託がもらえなくなるんです!これは困るよ!!!

 

生徒:他に今のオリンピックと違うところってありますか!?

 

しま:オール男子!選手はみーんな男。しかも裸。トレーナーも男。これもなぜか裸。見物できるのも男だけなんです。さすがにこれは裸じゃないけど、古代ギリシアは男の世界だったんです!

 

生徒:テレビでは放送できなそうですね!