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No.22(西)十字軍とその影響・東方植民とレコンキスタ

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こちらの動画の後半や

 

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しま:第6回、第7回の十字軍は、もはや末期の十字軍です。指導したのはどちらもフランス王ルイ9世。あだ名は聖王。まじめで熱心な宗教徒だったんだけど、第6回ではエジプトに遠征して捕虜となり、莫大な身代金を払って釈放してもらい終了。第7回ではエジプトまで行けず、フランスの対岸にあるチュニスを攻撃したところで、病死して終わり…。相手はマムルーク朝ね。

 

生徒:もう、ダメダメじゃないですか。

 

しま:ほぼ200年に及ぶ十字軍だったけど、聖地イェルサレムを維持することはできず、ビザンツ帝国を救うという目的からも外れ、結局何のためにやったのかわからないもうなんなんだこれとなってしまいました。1291年に最後の拠点、アッコンが陥落して、十字軍終了です。

 

生徒:尻すぼみで終わっちゃいましたね。

 

しま:一般民衆が宗教的情熱からイェルサレムに向かったり、子供たちだけで行われた少年十字軍なんていうのもあったんだけど、だいたいが途中で襲われたり、人さらいにあって奴隷に売られたりして、目的地に到着することすらできませんでした。あと、聖地巡礼者を守る目的で宗教騎士団という団体が結成されました!

 

生徒:宗教騎士団。具体的には?

 

しま:まず、第1回目に結成され、今もまだローマで存続しているヨハネ騎士団。それからテンプル騎士団。ここは、フランス王のフィリップ4世が、財産を狙って解散させられちゃいました。そして第3回に結成されたドイツ騎士団。のちに東方植民の主力となったのが、このドイツ騎士団です。ドイツ騎士団は、プロイセンという国の母体となります。以上。

 

生徒:先生。結局のところ十字軍ってヨーロッパの歴史にどんな影響を与えたんですか?

 

しま:ざっくりまとめると…

 

.言い出した教皇の権威が衰えた。

.従軍した諸侯、騎士は戦費の負担から没落し、相対的に国王の王権は強化された。

.アジアとの貿易(=東方貿易)が活発化し、商業と都市が発展し、商業を担う新興市民階級が台頭した。

.イスラーム文明が西欧に伝えられ、ヨーロッパ文化の発展に大きな影響を与えた。

 

と、こんなところかな!?

 

しま:続いて12世紀に始まった東方植民です。

 

生徒:動画も観ましたが、文章でもよろしくお願いします!

 

しま:ドイツのエルベ川より東の地域は、未開の土地が多く残っていました。そこに住んでいるスラヴ人を征服しながら、この土地をドイツの諸侯が積極的に開墾していったのが東方植民です。エルベ川以東の領主は有利な条件で農民を誘い、多くの農民が開拓民として移住していきました。第3回十字軍の時に結成されたドイツ騎士団という武装した修道士たちも、積極的にこの運動を行ってスラヴ人キリスト教化につとめました。東方植民はそんなとこ。

 

生徒:動画と文章を合わせて学習して、もう完璧ですね!じゃあ次はレコンキスタ、お願いします!

 

しま:5世紀初めに、イベリア半島ゲルマン人がある国を作りましたよね。なんていう国でしたか?

 

生徒:西ゴート王国です!

 

しま:正解!西ゴート王国は、415年~711年まで、約300年近く続きました。711年と言えば、イスラーム勢力が拡大する時期。ずばり、西ゴート王国滅亡の原因は、ウマイヤ朝の侵攻でした。さて、西ゴート王国を滅ぼしたウマイヤ朝は、そのままフランスとの国境にあるピレネー山脈を越えてフランク王国への侵入を試みます。

 

生徒:でも、732年のトゥール・ポワティエ間の戦いでフランク王国メロヴィング朝の宮宰、カール゠マルテルに撃破されるんでしたよね。

 

しま:その通り。ピレネー山脈以東に領土を拡大できなかったイスラームイベリア半島を支配することになったのです。しかし、イベリア半島キリスト教徒も頑張りますよ。奪われた土地を回復するため、718年~1492年まで国土回復運動(=レコンキスタ)を行います。レコンキスタスペイン語読みなので、英語だと“reconquest”すなわち再征服という意味になります。12世紀のイベリア半島を見ると、アラゴンカスティリャナバラポルトガルといったキリスト教の国々がそれぞれ勢力を拡大しています。この頃のイスラームは、ちょうどムラービト朝からムワッヒド朝に代わる頃でした。そして13世紀前半、いよいよイベリア半島最後のイスラーム王朝となるナスル朝が成立します。首都はグラナダ

 

生徒:グラナダと言えば、アルハンブラ宮殿ですね。

 

しま:イスラーム建築の代表だね。さて、イベリア半島キリスト教国の中で、いちはやくイスラーム勢力を撃退したのはポルトガルでした。ポルトガルは、そのまま大西洋へと飛び出し、大航海時代を始めます。アラゴンカスティリャも、ポルトガルに対抗したいんですが…そのためにはナスル朝を倒さないといけない。そこで両者は合併します。カスティリャの王女イサベルとアラゴンの王子フェルナンドが結婚し、1479年スペイン王国成立です。そして1492年、スペイン王国アルハンブラ宮殿無血開城させ、グラナダ陥落。ナスル朝はこれで滅亡となります。レコンキスタ完了です。

 

生徒:コロンブスがサン゠サルバドル島に到達したのも1492年なのって偶然ですか?

 

しま:偶然ではありません。イサベル女王は、イスラーム教徒が残していった財産でコロンブスを援助したんです。あと、動画では話しませんでしたが、イサベル1世はユダヤ教徒の追放を企てるんです。ユダヤ教徒に対して、「キリスト教に改宗しないなら、財産を置いて出て行きなさい!」と命令したんですよ。

 

生徒:信仰深いユダヤ教徒が、それで改宗するとは思えないですが…

 

しま:もちろん。イサベル1世もユダヤ教徒が絶対に改宗しないことを確信していました。つまり、ユダヤ教徒の財産を最初から狙っていたというわけです。じゃあなぜお金が必要だったのか…。ユダヤ教徒追放令が出されたのが1492年の3月10日。コロンブスの新大陸発見が1492年の10月12日。そう、彼女はコロンブスの航海を支援するための資金を必要としていたんです。もちろんこれはポルトガルに対抗するため。レコンキスタ完了の年と新大陸発見の年が同じなのは、決して偶然ではないんです。