読む世界史

書き残そう、世界の歴史の物語

No.13(西)フランク王国の発展

しま:ヴァンダル人、さすがに移動し過ぎだろ!そりゃバラバラになるよ。西ゴートも、イベリア半島まで移動してる。じゃあフランクは?これ、川を渡っただけだよ!ライン川を東から西へまたいだだけ!よいしょっ。しかもここはガリアと言って今のフランスだから農業生産性も非常に高かった!

 

生徒:そういえば、ゲルマン人ってだいたい何人くらい入ってきたんです?

 

しま:だいたい15万~20万人と言われている。対するローマ帝国はだいたい300~400万人。20倍だよ?イメージは、風呂に入ってて、よだれがぴゃーってたれちゃった感じ。え?だからローマに大した影響はないってこと!

 

生徒:ってことは??

 

しま:北魏をつくった鮮卑族と同じだ!「郷に入っては郷に従え」だよ?そこで、メロヴィング朝フランク王国の建国者であるクローヴィスは、アタナシウス派に改宗したんだ!アリウス派ってローマでは異端だったでしょ?つまりこれは、ローマ人との親密化を図っているんです。ちなみにこのランス大聖堂は北フランスにあるんですが、歴代フランス王が戴冠式をする場所になります。ナポレオン1世以外のね。さて、ゲルマン人は生き残るためにローマ教皇に近づく。ここからは別紙のプリントも参考にしながら、しっかり聞いていてください!

 

生徒:…録音させてください!

 

しま:まず、西ローマ帝国で一番偉い人は西ローマ皇帝だ!政治上のトップ。西ローマで宗教上一番偉い人はローマ教皇。お互いに干渉しません。それに比べて、東ローマ帝国で一番偉い人は皇帝。宗教上偉い人はコンスタンティノープル総主教と言う。さてそこに、375年以降、ゲルマン人が入ってきます。ただし、そのほとんどが西ローマへはいってくる。そして476年、西ローマ帝国は滅亡する。これ、ローマ教皇は殺されてはいないですよ。それはなぜか?ゲルマン人キリスト教徒だからね。それで今、西ローマというマンションは、ローマ教皇だけが住んでいて、あとの部屋はすべてGGGGGGGGGGGです。この状況わかります?

 

生徒:GってGermanのGですか?

 

しま:そうです。ローマ教皇に屈強なイメージはあまりない。だから…女の子にしても良いですかね?キョウコでいい?さぁ、今キョウコは寂しい。キョウコには付き合っていた彼氏が居たよな?。西くんだ。だけど、西くんは居なくなった。Gにやられた。キョウコには今、守ってくれる人が居ないんです。政治的孤立状態だね。そういう時、西くんと血を分けた兄弟が居たことを思い出す。東くんだ。そこで、キョウコは言ったよ。「東くん、私を守ってくれない?」って。…きたよ!こうやって女は寂しがるんだよ。で、男はこういうのに簡単にだまされる。でも騙されるのも楽しいものかもしれな

 

生徒:ちょっ、なんの話ですか

 

しま:さてここで東くんの家の中を見ておこう。東くんの家では、政治が宗教をつかさどっています。残ってるんですよ。ローマ帝国の伝統が。これを“皇帝教皇主義”と言う。ただ、キリスト教徒は嫌がってますよ。だって宗教が政治に支配されてるんですから。だから抵抗している人たちが居た。修道院です。これは全寮制の学校みたいなもの。これが東くんに対抗しようとしているんだ。そんな中、外敵がやってきた。イスラームだ。東くんは厳しいぞ。仲間割れしてるところに敵が来ちゃったんだから、まずは修道院を抑え込まないといけない。そして、これを考えるんだ。

 

生徒:これ、とは?

 

しま:昔ね、俺が小さいころは小学校の前にこういう人が立ってたんだよ。みんなは知らないかな?絵本みたいなの持って、キリスト教のことを話してくれるんです。ひらがなで書いてある。「いえすは、ふっかつしました。」とか。しかもその本、タダでもらえた。難しいものを教える時には、絵や像などを使った方が分かりやすいんです。でも聖書に書いてあるよ?神様を像や絵にしちゃだめだって。そんなとき、東くんはイスラーム教と触れた。イスラーム教と言えば偶像崇拝禁止。見つけたよ、東くん。ここを指摘してやれば、もうこれ以上修道院勢力は広まらない。そこで726年、聖像禁止令の発布だ。こうして修道院勢力は落ち込んだ。

 

生徒:うまいこと考えましたね!

 

しま:でもね…修道院は後から言ってきたよ。今回は俺たちの完敗だ…。でも、お前の彼女も聖像使ってないか?って。お前、彼女には使わせておくのか?それでいいのか?って。それで、東くんはキョウコを呼び出すんだよ。

 

※イメージ

 

東「お前さ、まさか…聖像なんて…使ってないよな?」

 

キョウコ「 」

 

東「あれ?お前、それ…なに?」

 

キョウコ「いや、え、これタンブラー。」

 

東「これ…聖像じゃん。」

 

しま:キョウコは使ってたんだよ!ゲルマン人キリスト教を広めるために使ってた!キョウコは迷ったよ。彼氏を取るか、友だちを取るか…。キョウコは怒って帰っちゃう。「もう東くんなんて知らない!」って。鍵ガガガってかけます。スマホを枕元に置いて。もう、東くんなんて最低!って

 

生徒:なんでスマホを枕元に?

 

しま:分かるだろ!…待ってるんだよ。東くんからのLINEを。

 

そしたら突然外から声がする。

 

アッラーアクバル!…アッラーアクバル!」って。

 

真っ白い服を着たイスラーム教徒がそこまで来てるんですよ。

 

あーあ、もう終わり…。

 

誰も守ってくれる人はいない…。

 

生徒:キョウコ、絶体絶命…

 

しま:そしたら、突然声がしなくなった!あれ?あかない!ドアがあかない!…鍵かけたからだね。ガチャ。ん?と思って廊下に出たら…イスラーム教徒が倒れてるんだ。

 

生徒:なんと!

 

しま:キョウコは「きっと東くんが助けてくれたんだ!」と思っていたらLINEがきた…。東くん…じゃないんだよ。カール゠マルテルだった!まさかGが自分を守ってくれるなんて思って無かった!もしかして…フランクの人たちって良い人かも。みたいな。これが732年、トゥール・ポワティエ間の戦いです。

 

生徒:カール゠マルテルが西ローマ世界を守ったんですね!

 

しま:その通り!さぁ、726年に聖像禁止令を出した東くんですが、本当の名前はレオン3世です。カール゠マルテルは王ではない。宮宰だ。宮宰ってのは、王領地の管理人で、国のNO.2です。マンションの管理人のおじさんみたいなね。ただ、カール゠マルテルは王になる前に死んじゃう。そこでその子ども、ピピンちゃんが国民に推される形で王になるんです。キリスト教世界で革命やクーデタは絶対禁止ですよ。だからこれ、本当はダメなんじゃないの?でも、ローマ教皇は支援するんですよ。お父さんのカール゠マルテルがやってくれたこと、すなわちトゥール・ポワティエ間の戦いの勝利への恩返しなんです。

 

生徒:キリスト教世界を守ったヒーローですもんね!

 

しま:でも、ピピンからすれば、その業績はお父さんのものですから、キョウコになにかお返ししてあげなくちゃって思うんです。当時、キョウコにはストーカーが居た。ランゴバルドです。危ないから討伐します。そしてその土地を奪い“恩返しの恩返し”をします。ここ、ラヴェンナ地方と言って、のちのローマ教皇領の起源となります。756年、ピピンの寄進だ。土地をもらったら?結婚するしかないだろ。でもピピンは死んじゃう。その子どもがカール大帝シャルルマーニュ(フランス語)とも言う。こんな名言があるよ。「マホメットなくしてシャルルマーニュなし」。ベルギーの歴史家ピレンヌという人の言葉。イスラーム教徒がもし攻めて来なかったら?シャルルマーニュがこういう形で登場してくることは無かったってわけ。では、いきましょう。カールの戴冠です。場所はサン゠ピエトロ大聖堂。西暦800年、クリスマスの朝。キョウコは帽子を持って待っている。昔付き合っていた西くんがかぶっていた帽子だ。その帽子を、フランクにあげるんです。これであの西ローマ帝国が…復活したんです!!!

 

生徒:なるほど!政治と宗教が再び結びついたわけですね!

 

しま:そういうこと!ではカール大帝の内政を見ていこう。彼は、各州に伯を設置して、それを巡察使で監視する中央集権体制をとった。ルネサンスというのは古いものを復興することです。ローマ文化の復興をします。ローマ人との親密化のためだね。まだ周りのゲルマンの多くはアリウス派なんですよ。そこでアルクインという宣教師をイギリスのカンタベリから呼んできてアタナシウス派を布教させる。あとは、アインハルトに『カール大帝伝』を書かせている。

 

生徒:ふむふむ。

 

しま:続いて外征。774年、ピピンが懲らしめたランゴバルド王国を完全に征服し、北イタリアを統一。ちなみに、北イタリアにロンバルディアってあるよね?ランゴバルドランゴバルドランゴバルドロンバルディア。そういうこと。さらにモンゴル系のアヴァール人を撃退している。アヴァール人はその後、ハンガリーへ定着する。さらにザクセン人を討って、エルベ川下流域を併合。ただ、後ウマイヤ朝との戦いには負けるんです。そのあと、甥を戦死させてしまう…。その甥の名前がローランと言って『ローランの歌』という物語になっています。以上ここまで!難しいけど、おもしろいところだからしっかり頭の中を整理しておこう!