読む世界史

書き残そう、世界の歴史の物語

No.11(東)グプタ朝とヴァルダナ朝

しま:クシャーナ朝の後はグプタ朝[320年~550年]です!首都は再びパータリプトラ。

 

生徒:おっ!ってことは、アーリヤ人の王朝の復興ですね!

 

しま:その通り!グプタ朝はまさにマウリヤ朝の復興を目指してチャンドラグプタ1世によって建国された。最盛期の王はチャンドラグプタ2世なのでお間違えなく!

 

生徒:おや?チャンドラグプタ2世は<超日王>と言うんですね。ってことは、中国と何かしらの接点が?

 

しま:素晴らしい!この人に会った中国人が居るんですよ。それが東晋から来た法顕という人!仏教のお勉強にやってきました!

 

生徒:あ、そういえばグプタ朝時代の仏教はどんな感じですか?

 

しま:純インド的なグプタ様式の仏教美術が生まれます。実は既にクシャーナ朝の時代からマトゥラーという場所を中心に仏像がつくられていたという説があるんだけど、その影響を受けているのがグプタ美術。そのグプタ美術の影響を受けた仏像や絵画の傑作が並ぶのがアジャンター石窟寺院だ!石の洞窟だから石窟。世界遺産にもなっているから図表でチェックしておこう!

 

生徒:はい!…あ、すごい。日本の法隆寺金堂とそっくり!

 

しま:日本にインドの仏教が伝わってきた証拠ですね。あと、この頃(法顕が帰った後で)仏教の大学ができるんだ!それがナーランダー僧院!このナーランダー僧院で学ぶために世界中から仏教を勉強しに来た人が並んだー…なんちゃって☆

 

生徒:はいはい、並んだ並んだ。

 

しま:…というわけでこの頃から仏教は衰退を始めます。

 

生徒:ファッ!?

 

しま:学校に通えるのってどんな人ですか??

 

生徒:そっか。今と違って時間とお金に余裕がある人しか学校には通えないのか。

 

しま:そうなんです。すると仏教は高度な学問になってしまうんです。難しくなればなるほど民衆の心から仏教が離れる。加えてこの頃、商業活動が不振で、商人からの金銭的な支援を受けられなくなっていたことも仏教衰退の一因となりました。

 

生徒:ふーん。栄えたかと思えば一気に衰退か。なんかグプタ朝って忙しいですね。

 

しま:そういうわけで、グプタ朝時代にはヒンドゥー教が台頭するんだな!仏教から離れていった民衆の心がどこへ向かったかというと…思い出していたわけですよ。「あれ?そういえば昔、自然の神々を崇拝していたよなぁ…」って。

 

生徒:アーリヤ人の原始宗教であるバラモン教ですね!

 

しま:そう!そのバラモン教に仏教や民間信仰をミックスして生まれたのがヒンドゥー教シヴァ神ヴィシュヌ神ブラフマー神がヒンドゥー教の神様たちで、その中でもシヴァ神は“踊るシヴァ神”(ダンシングシヴァ)と呼ばれて知名度が高い!

 

生徒:なんで踊ってるんですか?

 

しま:踊ることによって、振動で世界を破壊しているんだ!そしてそこから新たな世界を創造する!

 

生徒:おもしろいですね!あ、ヒンドゥー教聖典は何ですか?

 

しま:『マヌ法典』と言います!これはただの聖典ではなく、社会規範としての意味合いもあります!あと、もともとバラモンの言葉であるサンスクリット語という言葉が公用語化されて、サンスクリット文学が完成します!『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』の二大叙事詩はあまりに有名!

 

生徒:え…どっちも知らない…。

 

しま:うそでしょ!『ラーマーヤナ』は絶対知っておかなきゃダメ!あの『西遊記』や『桃太郎』の元になったお話とも言われてるんだから!

 

生徒:いやぁ…全然知らなかったです!

 

しま:あと、宮廷詩人のカーリダーサが書いた戯曲『シャクンタラー』も覚えておこう!以上、グプタ朝の文化でした!さて、グプタ朝中央アジア遊牧民エフタルの侵入によって滅亡します!そして最後の統一王朝がヴァルダナ朝[606年~647年]で、首都はカナウジ。

 

生徒:ん?なんかやたらと短命ですね。あれ?王の名前もハルシャ゠ヴァルダナしか書いてない。

 

しま:それもそのはず、ヴァルダナ朝は、ハルシャ王一代限りの王朝なんです!ちなみに中国名で<戒日王>。唐からやってきた玄奘という僧と出会っています。玄奘はナーランダー僧院で仏教を学んでいくんですけど、行きも帰りも歩きでやってくるんです。その途中で妖怪と戦ったり、猪八戒沙悟浄を連れていたり…

 

生徒:え!?もしかして玄奘って三蔵法師のモデルになった人ですか!?

 

しま:これは知ってたんだね!玄奘玄奘三蔵と言って、あの『西遊記』に出てくる三蔵法師のことなんです!若いから、日本のドラマでは女性がやってたりするよね!ヴァルダナ朝は内紛によって滅びます!これでインドの統一王朝は全ておしまい!

 

生徒:ヴァルダナ朝が滅んだあとのインドはどうなるんですか??

 

しま:ラージプート時代と呼ばれる分裂割拠の時代に入っていきます。ラージプートっていうのはサンスクリット語で王子を意味する言葉。つまり、クシャトリヤ階級の人々による地方政権の時代ってことだね!