読む世界史

書き残そう、世界の歴史の物語

No.12(西)ゲルマン人の大移動

※令和5年度の世界史BのプリントはNo.12(西)が2枚あります。ミスです。こちらがNo.12②で南北アメリカ文明がNo.12①と考えてください。

 

しま:さて、久しぶりの西洋史ですね!476年、西ローマ帝国は誰によって滅ぼされたか…覚えてる?

 

生徒:もちろんです!ゲルマン人傭兵隊長オドアケル

 

しま:ピンポーン!西ローマはゲルマン人によって荒らされ、混乱し、滅ぼされてしまったわけです。今日はそんなゲルマン人のお話…なんだけど、「ゲルマン人」という言葉はあまり使いません。いろんな部族に分かれてるからです。これをキウィタス(=部族国家)と言う。彼らの原住地はバルト海沿岸。アルプス以北の先住民のケルト人を圧迫しながら勢力を拡大していきました。政治体制は王政です。ただし、王に強い権限はなく、重要事項は成年男性自由人による民会で決定する。王が居て平民が居る。平民はもれなく戦士で、王は何があっても平民を保護しないといけない。戦士は王のために忠誠を誓って戦う。この仕組みを従士制と言う。宗教はキリスト教アリウス派。もともとは自然崇拝です。で、こういうのが、<カエサル>の『ガリア戦記』[前1世紀]とか<タキトゥス>の『ゲルマニア』[後1世紀]に書かれていたわけよ。

 

生徒:アリウス派かー。確かニケーア公会議で異端になった宗派でしたよねー。

 

しま:それです。さて、ゲルマン人は375年にみんないっぺんにいちにのさーーーんで川を渡ってきた!…わけじゃない。岩に苔が生すように、大移動前にローマにちょろちょろ入ってきてるんです。1、賢いゲルマン人は下級官吏。2、賢くはないけど力自慢なら傭兵。3、コロヌス。これは小作人だね。移動の内的要因は人口の増加による耕地不足です。じゃあ外的な要因は…?これ、押されたからなんですよ。誰に押されたか…フン人です!つまりアジア系です。いい?ライン川ドナウ川を繋いだ線より西に渡ってきちゃダメだ!ってローマと約束してたんですよ。でも375年、フン人が東ゴートを服属し、押された西ゴートがドナウ川を渡ってきちゃった!おまけに410年には、西ゴート王アラリックがローマ市で略奪行為!ゲルマン人はめちゃくちゃ強いですよ!

 

生徒:これって…どの部族がどこからどこへ移動したか覚えるんですか?ヴァンダルとか、北アフリカまで移動してるし…動きすぎ…

 

しま:覚えてください!加えて、東ゴート王国の建国者テオドリックを書き足しておいてください。

 

生徒:テオドリックオドアケルを倒したんですね!テオドリック強いなー。

 

しま:実はね、ローマとゲルマン人ってケンカしているようだけど、完全な敵というわけではない。どちらにとっても強敵であるアッティラ率いるフン人に対しては連合軍をつくって戦っている。

 

生徒:451年、パリの近くで起きたカタラウヌムの戦いのことですね!

 

しま:ここで負けたフン人は、ガリアを諦めて北イタリアに南下するんです…が、そこでローマ教皇に怒られちゃうんですよ。「ここは、お前らの来るところじゃない!」って。レオ1世の説得です。で、結局実家に戻るんです。それがどこか。パンノニアという場所。ここにフン人は、憧れのガリアという名前の国をつくるんです。フン人のガリアですよ?フンガリア。そう…

 

生徒:ハンガリー

 

しま:その通り!さて、これだけたくさんの部族のゲルマンがいたわけだけど、生き残るのはたった1つです。それがどこか、分かるかな??

 

生徒:ヒントください!

 

しま:移動距離に注目してみよう!一番力を温存してそうなのはどこかな?