読む世界史

書き残そう、世界の歴史の物語

No.23(東)草原の遊牧民とオアシスの定住民

しま:青春かぁ…

 

生徒:いや!どうしたんすか、いきなり!

 

しま:…スキターーーーーイ!!!!!(夕陽に向かって)

 

生徒:え…?何!?博多弁!?え!?

 

しま:と、いうわけで今日は遊牧民のお話です。

 

生徒:どういうわけで!?

 

しま:遊牧民が活躍するのは内陸アジア。東はモンゴル高原、西はカスピ海、南はヒンドゥークシュ山脈、北はシベリア南部に至る広~大な乾燥地帯です。そこで遊牧生活を行っているのが遊牧民。これが馬に乗っていれば騎馬遊牧民

 

生徒:どんな生活をしてるんですか?

 

しま:家畜の飼育に適した環境を求め、季節ごとに移動するのが特徴です。そのため、移動に便利なテント式の住居(ゲルとか、パオとか)に住んでる。家畜と言えば羊、山羊、馬、牛、ラクダが主で、衣類、食料、住居のあらゆるものを家畜に依存しているよ。

 

生徒:なるほど。家畜こそが財産なんですね!

 

しま:そう。基本的には血縁的集団が重視されるけど、必要に応じて大きな集団を作ったり、解散したりする。我々よりもドライに感じるかもしれない。

 

生徒:確かに。僕は家畜をさばけませんし…ってまぁ、魚もさばけないけど。

 

しま:ちなみに彼らが移動する道を「草原の道」(=ステップ゠ルート)という。これは覚えておこう!で、最初に国を作った遊牧民がスキタイだ!

 

生徒:出た!スキタイ!博多弁じゃなかったんですね!

 

しま:スキタイは、紀元前6世紀頃に南ロシアに国家を形成するんだけど、何といっても動物文様の武具やクシなどの日用品の美しさに感動するよ!ここは、ギリシア植民市とも交易を行ってました。

 

生徒:で、そんなスキタイの影響を受けたのが匈奴ですね!

 

しま:そう!前200年には、白登山の戦いで匈奴の君主<冒頓単于>が、前漢の<高祖>を倒して、捕虜にしている。一方、西では月氏を倒して、西走させちゃうし(大月氏)、もう最強!

 

生徒:そんな匈奴を倒そうとしたのが<張騫>でしたよね!?

 

しま:<武帝>の命令で大月氏のところに行くんだけど…って話は前漢のところでしたね。実は張騫ってこの後、烏孫にも派遣されるんだけど、こっちもうまくいかなかったらしい。

 

生徒:その後登場してくるのが五胡の一つで、北魏を建国した…

 

しま:鮮卑族ね!昔はモンゴル系って言われてたけど最近はあいまいらしい。そしてそんな鮮卑と対立していたのが柔然。こちらははっきりモンゴル系。君主の称号として可汗(カガン)を初めて使った…

 

生徒:と、言われていたけど、今は鮮卑のころから使われていたとなっている。

 

しま:その通り。

 

生徒:はい先生!遊牧民ってまったく穀物とか食べないんですか??

 

しま:そんなことないよ!実は内陸アジアには、雪解け水とか地下水を利用できるオアシスも点在してるんだ。そういうところでは、灌漑農業を営むオアシス民が生活している!

 

生徒:なるほど。じゃあ、遊牧民にとってオアシスの農耕民との交易による物資の調達は重要だったわけですね。

 

しま:ですね。時としてそれは略奪行為に及ぶこともありました。交易と略奪の境界はあいまいだ。ちなみに、ラクダを引き連れた隊商が往来するルートを「オアシスの道」といいます。ただしこのルート…よく見てみると…

 

生徒:あれ?これってシルク゠ロードですよね!?

 

しま:その通り!19世紀にドイツの地理学者<リヒトホーフェン>が名付けた、あの「シルク゠ロード」なんです。

 

生徒:世界にはいろいろな暮らしをしている人たちがいるんですね。

 

しま:でもなぜか、遊牧民は何かあると必ず西へ移動する。分裂しても、征服されても、西へ移動して復活する…どうして西へ移動するんだと思う?

 

生徒:んー…なんででしょう?

 

しま:西へ沈んでいく太陽を、追いかけているからさっ!

 

生徒:青春や!!!