歴史総合No.10~イギリスの繁栄と国民国家の拡大~
生徒:次はいよいよイギリス史ですね!
しま:このブログを読んでる女性は、だいたい16~17才くらいですかねー。今日出てくるヴィクトリア女王[位1837~1901]って、18才で即位して、それから64年間「ヴィクトリア時代」と呼ばれるイギリスの繁栄期を演出するんですよ。
しま:この時代は政治がすっごく安定している。保守党と自由党の二大政党制です。保守党は、強いイギリスを守りたい!戦争に行って勝たなきゃいけない!こういうのを「大英国主義」と言います。自由党は、貧しい人を助けてあげたい、内政を充実させたい!こういうのを「小英国主義」と言います。保守党はディズレーリ、自由党はグラッドストンが代表的な政治家。世界史選択の人は知っておきましょう。
生徒:なるほど。イギリス繁栄の象徴であるヴィクトリア女王と、その時代を支えた二大政党制か~。
しま:議会制民主主義の誕生の時代ですね。さて、イギリスは、世界のどこよりも早く産業革命を達成しました。これにより、”世界の工場”と呼ばれるイギリスを中心とした世界的な分業体制が成立したわけです。これを近代世界システムという。
生徒:イギリスが圧倒的な工業力と軍事力を手に入れたわけですね!
しま:そう!イギリスが他国を圧倒する国力を有したことで平和が保たれたんだ。これをイギリスの平和、パクス゠ブリタニカと呼ぶ!
生徒:産業革命が進むイギリスをはじめとした欧米諸国に対し、清や西アジアのオスマン帝国などは周辺の従属国として近代世界システムに組み込まれていったのですね。
しま:インドもそうですよ!インドはイギリスの植民地となり、綿花を輸出し、綿製品を大量に輸入している。さっき出てきたヴィクトリア女王はインド帝国の皇帝を兼ねています。まさにこの関係性こそが近代世界システムだ。それがわかりやすく表れたのが三角貿易だよ。
生徒:先生!三角貿易ってなんですか?
しま:文章で説明するのは難しいから、こちらのショート動画をご覧ください!
しま:では、再びイギリス国内に話を戻しましょう。19世紀イギリスのキーワードは自由だ。例えば、自由貿易。国が輸出入に関して関税や制限などの干渉を行わない貿易に切り替わったのが19世紀。
生徒:1833年から自由化が進んでいますね!
しま:そう。年代にはぜひ注目して欲しい!おそらく前の年に何かあったんですよ。つまり1832年…。
生徒:分かった!第1回選挙法改正!
しま:よく気づいたね!ここで選挙権をもらったのが産業資本家たち。だから翌年、一気にいろいろと良い法律が通るんです。では、プリントを上から順番に見ていこう。中国との貿易を独占していた東インド会社は、1813年にはインド貿易独占権が廃止され、1833年には中国貿易独占権が廃止されます。
生徒:良いですねー。自由ですねー。
しま:1815年に制定されていた穀物法は、自由を妨げる良くない法律です。大陸からの安価な輸入穀物に高関税をかけて、売れないようにするというもの。さて、みんなはパンと言えばどこの国を連想する!?
生徒:フランス!フランスパン!
しま:じゃあもし、イギリスでフランスのパンばっかりが売れちゃったら…誰が困る?
生徒:パン屋!
しま:いや、パン屋も困るんだけど、パン屋に小麦をおろしている地主が困るんです。地主って…イコール国会議員ですからね。自分を守るためにこういう法律を作っていたんです。
生徒:なるほど!でも、安くて美味しいものが食べたいです!
しま:だよね。それで反穀物法同盟という団体が結成され、1846年に穀物法を廃止させます!そして1849年には航海法も廃止されています。
生徒:これで終わりですか!?
しま:あとは、さっき少し触れたけど選挙法改正だね!当時のイギリスの選挙区って、150年も前の選挙区だったんですよ。マンチェスターには人口が10万人も居たのに、150年前には町が無かったから代表は0のまま。逆に、すごく大きな町だったけど、大雨で湖に沈んじゃった町が未だに代表2とかなってた。
生徒:カッパが出馬するんですか?
しま:しないよ!ボートで湖の中央に行くんです。それで昔の住人が集まって投票する。
生徒:腐敗選挙区じゃないですか!
しま:そうなんだよ!それが廃止されたのも1832年。しかし、まだ労働者には選挙権がない。「どうして、俺たちは貰えないんだ!」って労働者たちが人民憲章を掲げて選挙権要求運動をするんです。これをチャーティスト運動と言います!そのあと、1867年には都市労働者に、1884年には鉱山や農村労働者に選挙権が与えられたんだ。
生徒:ほかにも覚えることはありますか?
しま:ロンドンで第1回万国博覧会が開催されたことかな?
しま:会場となったクリスタルパレスは鉄骨に全面ガラス張り!プレハブ建築でつくられたんだよ。プレハブってきくとなんだかすごく頼りなさそうだけど、 「建物の部品を集めて、ある程度までできあがったものを、短時間に組み立てる」という画期的な建築方法だったんだ。