読む世界史

書き残そう、世界の歴史の物語

No.4(西)アテネ民主政への歩み

しま:さぁ、今日のテーマは、アテネ民主化だ!ここは入試頻出!ってわけで、メンバ―紹介!紹介メンバー!

 

「ドラコンです。」

 

「ソロンです。」

 

ペイシストラトスです。」

 

クレイステネスです。」

 

全員で「よろしくお願いしまーーーす。」

 

生徒:誰!?え!?誰と誰と誰なのよ!

 

しま:もうさ、本人たちに話してもらった方が楽かな~?と思って!それで、今日は時空を超えて、アテネからご本人たちを呼んできちゃったんだ!

 

生徒:え?何!?急にSFですか?

 

しま:さて!アテネも最初は、お金持ちの貴族だけが政治を独占していました!なぜなら「戦わざる者、政治するべからず」だから!この意味わかる?

 

生徒:どういうことですか?

 

しま:戦場で戦う者にのみ、政治の場での発言権が与えられていた、ということです!で、戦うには当然武器が必要だ。だけど、その武器をそろえられるのは、お金を持っている貴族に限られていた。ってことなんだ。武装した貴族を重装騎兵という!馬に乗るから重装“騎兵”ね!

 

生徒:馬とか、めっちゃ維持費かかりそうですもんね。

 

しま:しかーし!小アジアのリュディアから金属貨幣が伝わってきて貨幣経済ギリシア世界に浸透したことや、地中海各地に植民市を建設して、活発な貿易を行ったことなどにより、アテネの平民はどんどん富を蓄積していきます!

 

生徒:ほー!それで平民は、その富を一体何に使ったんですか!?

 

しま:彼らはその富で…武器を揃えたんだ!

 

生徒:なるほど!それで平民も戦争に参加できるようになって、参政権を要求するようになった…ってわけか!

 

しま:その通り!それが“重装歩兵”なんだ!ここまでOK

 

生徒:OKです!

 

しま:よしっ!そしたら休憩がてら、ちょっと外でクリケットでもやろうか?あ、バット持ってるよね?負けた方が罰ゲームね!

 

生徒:えっ!?クリケット!?!?いや、俺ルールわかんないっすよ!ってか、バット使うんすか!?これ、ルール知らない俺が圧倒的に不利じゃないですか!?俺にもルール教えてくださいよ!

 

ドラコン:「それじゃ、わしが成文化するとしよう…。」

 

生徒:え!?…あなたは…ドラコン!!!

 

ドラコン:「わしは、紀元前7世紀の後半、それまで貴族が独占していた慣習法を成文化したんじゃよ。さっきおぬしは、クリケットのルールを知らなくて困っておったな。そう。ルールというのは、知らないもんが損をするんじゃ。なぜなら、知っている側が勝手にルールを変えても、それに抗議をする術が無いからじゃな。じゃから、わしの行った立法とは、貴族の恣意的な法解釈の幅を制限することによって、平民の利益を前進させるものとなったんじゃ。」

 

生徒:なるほど…目に見えるような形でルールを共有したってわけか!今で言うところの情報公開ですね!

 

しま:そうだね。でもまぁ、政治に参加できるわけじゃないから、まだまだ平民は不満ですよ。

 

ソロン:「さて、そろそろ私の出番ですね。私は名前はソロンですよ。」

 

生徒:そうですね……ってまた出た!

 

ソロン:「前594年。私の行った改革のポイントは2つです。1つは、市民を財産によって4階級に分け、財産を持つ者には平民であっても参政権を与えたことですよ。要するに重装歩兵として武具を自弁できるくらいの者には、参政権を認めてやったということですね。This is 財産政治です。」

 

生徒:なるほど!身分ではなく財産が基準になったから、財産政治と言うんですね!でも、まだまだ貧しい平民は政治に参加できてませんよね?

 

ソロン:「そうなのです。貧しい平民は、参政権どころか、借金が返せなくなって奴隷身分へ落ちてしまう者もいました。貧富の差ってやつですな。だから私はこれを救おうと考えました。そうです。債務奴隷を禁止したのです。」

 

生徒:そりゃすごい!…ですけど…一回金で失敗した人間って、どうせまたすぐ借金増やして帰ってきますよ。闇金ウシジマくんで学びました。

 

ソロン:「そうね。そこで私は思い切って負債を帳消しにしてあげました。これでもう奴隷に転落する心配はありません。」

 

生徒:すごい。そうすれば国の兵力が衰える心配も無くなりますね!

 
しま:ただ、この改革は、お金を貸してた貴族側からすれば不満たらたらの改革だし、貧しい平民も、結局は土地でも貰わないと、根本的な解決にはならないから、双方にとって不満の残る改革となりました。

 

ペイシストラトス:「よっしゃ!!!俺の出番だな!」

 

生徒:あんたは…ペイシストラトス

 

ペイシストラトス:「前561年。俺は悪徳貴族から権力と土地を奪って独裁政治を始めたんだ!もちろん非合法的にな!俺の政治体制は僭主政治と呼んでくれ!ただ、独裁者って言うとイメージが悪いと思うから、一つだけ言っておくぞ。俺の場合は、貴族から奪い取った土地を、貧しい平民に分配してやってたんだぜ。」

 

生徒:いやでも、あなたはうまくやったとしても、さらに過激な僭主が出てきたら大変ですよ!非合法はやっぱり危険です!

 

クレイステネス:「では、危なそうな奴は、表に出てくる前に、ポリスから追放してしまいましょう!さぁみなさん、これにみなさんが追放したいと思っている人の名前を書いてください!」

 

生徒:あ、クレイステネスさんだ。…ん?これ…なんですか?なんかのカケラ??

 

クレイステネス:「陶器のカケラ、陶片です!」

 

生徒:陶片追放(=オストラキスモス)ってことですね!確かにこんな欠片なら、どこにでもありますもんね!

 

クレイステネス:「もうひとつ!選挙区を変えたいと思います!これまでは血縁に基づく4部族制でしたが、今後は地縁に基づく10部族制でいきたいと思います。これで貴族の基盤は失われるでしょう!」

 

しま:ほい!前508年、クレイステネスの改革によって、アテネは、民主政の基礎を確立することになりました!しかし、この段階ではまだ貧乏平民には参政権がない。もちろんなぜだかわかるよね?

 

生徒:はい、先生!まだ戦争に参加できていないからです!

 

しま:その通り。無産市民も戦争に参加できるようになって初めて、アテネの民主政は完成するんです!と言っても素手で戦ったわけじゃないよー。

 

生徒:え?じゃあどうやって参加したんですか??

 

しま:そのへんの話は次回のペルシア戦争で勉強していこう!